u1005のブログ

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広告とか性とかwebとか宗教に関して。先端と末端の間から。経済性と社会性の間から。

GoogleやAmazonがAIスピーカーで何を企んでいるのかという話

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はじめに


少しずつ耳に入ってくるようになったAIスピーカー

Google Homeは日本での発売が開始され、
https://store.google.com/product/google_home?hl=ja

Amazonや、そしてAppleも年内にAIスピーカーを発売することを発表しています。

価格もGoogle Homeが(miniで)6,480円、Amazonも(一番安い機種で)49ドルと、非常に親しみやすい価格で、このデバイスで儲けようというわけでは無さそうです。
Appleは若干高そうですが。

バイスで儲けようとしていない(とすると)彼らはどこで利益を出そうとしているのか?
言い換えれば、GoogleAmazonがどんな未来をAIスピーカーの先に描いているのか?
この辺を今日は想像してみたいと思います。

何が起こるの?


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AIスピーカーを手にした人には何が起こるの?

まずはここから整理して考えてみます。

①インターフェースとしての音声が今まで以上に当たり前になる

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これは容易に想像がつきますね。
CMなどで「OK, Google」などと話かけているあれです。

人に話しかけるようにAIに話かけると(入力すると)、AIから何らかのリアクション(出力)がある。という単純な構造です。

小さな子どもや高齢の方には「スマートフォンの入力」という作業の負荷や難易度が高いため、スピーカーが発売される前から音声での入力が一般化しているという話を聞いたことがあります。

家事や育児で手を離せないときにも音声という入力手段は有効かもしれませんね。

②人の生活の多くがオンラインでデータ化される

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AIスピーカーを通じて色々な家電が操作できるとすると、容易に想像できるのが「人の生活のデータ化」です。

例えば、ある休日の朝を想像してみます。

朝起きて暖房と電気をつける。
音楽を聞きながら簡単な料理をする。
朝食を食べながら録画したドラマを見る。
洗濯機を回して簡単な掃除をする。
天気予報で傘が必要か、上着が必要かを確認する。
お昼のレストランを予約する。
戸締まりをして家を出る。

こんな、例えば朝の時間の中に
(1)暖房をつける
(2)電気をつける
(3)音楽を再生する
(4)動画を再生する
(5)洗濯機を回す
(6)天気予報を確認する
(7)レストランを予約する
(8)戸締まりをする

という何らかの「操作」が発生していて、これがすべてスピーカー経由で実行できる世界が来るかもしれないのですね。

必然的にスピーカーはここの情報、言うなれば「人の生活」を情報として手にすることになり、当然その情報はオンラインでデータとして保存されるわけです。

③人の欲求と解決手段の間にある接点の全てにスピーカーが挟まる

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GoogleAmazonが作ろうとしているのはこのような世界だと想像しています。

つまり

「暑いから涼しくなりたい」
「落ち込んでいるから音楽を聞いて気分を上げたい」
「外出の服装を選びたい」

といった人の欲求と、

「エアコンをつける」
「音楽をかける」
「今日の気温と天気を知る」

といった解決手段の間を押さえようとしているわけです。
この結果どのようなビジネスを彼らが描いるのかについては、以下で順を追って想像しています。

今後どうなるの?


次に、AIスピーカーが普及した世界では何が起きるのか?を想像してみます。
単純にAIスピーカーを手に入れた場合ではなく、広く普及した世界です。

音声での入力が一般化したり、人の生活がデータ化されることが何をもたらすのでしょうか。

①音声入力が普及しきった世界

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AIスピーカーが普及すると今まで使用していなかった人たちも、音声での入力を使用するようになります。
声を出して入力をすることに抵抗が残る可能性はありますが、自然な応答をAI側が身につけることで人と話すのと変わらない気持ちで音声入力ができる未来が来ると思っています。

具体的な未来を想像すると一部タッチパネルが普及しているレストランでの注文も、音声の方がスムーズな可能性などに思い当たります。

たとえばタッチパネルで夜ご飯を注文する場合
「定食」「丼」「小鉢」「飲み物」
から、それぞれ注文の品を探し出して、それぞれタッチする必要があります。

一方で音声入力の場合は
「牛焼肉定食の大盛りと野菜サラダ」
と音声で入力するだけで済む。

といったイメージです。

また、現在は人が担っているカフェでの注文も、もしかしたらAIで済んでしまうかもしれません。
顔認証と合わせて毎朝飲んでいるコーヒーをおすすめしてくれるような未来が来ると、機能として人はAIに勝てなくなってしまいますね。

②人の生活がデータ化された世界

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家電などの操作がスピーカー経由で実行できるとすると、当然ながらGoogleAmazon側にはこれらの操作に関する情報が蓄積されることになります。
Aさんはいつも8時頃に起きるんだな、とか、Bさんはスペイン理が好きなんだな、とか。

このような情報は今までインターネットの検索やホームページの閲覧履歴からしか得られないデータでした。
AIスピーカーが普及することで、これらの企業は検索や閲覧以外に「人の生活」からダイレクトにデータを得ることができるようになりますね。

これが進化していくと、

「毎朝聞いている天気は聞かれなくても答えてくれる」
「毎週見ているサーフィンの波情報は週末の夜に教えてくれる」

など、人の欲求に対する先回りもできるようになりそうですね。
支配されてしまう感覚もある一方で、委ねることの利便性も強く感じています。

③人の欲求と解決手段の間にある接点をスピーカーがすべて押さえた世界

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遠くない将来にこのような世界は確実に実現します。
なぜなら、圧倒的な便利さに対して人が屈服してしまうからです。

考えてみてください。
プライバシーを気にして、インターネットの検索やSNSを利用しない人がどれだけいるでしょう?
多くの人は漠然とした不安を感じつつも(または不安をまったく感じずに)「必要な情報を集めたい」「共通の趣味を持つ人と繋がりたい」という利便性を優先し、検索やSNSを利用しています。

これまでは買い物や検索のハブだったGoogleAmazonが「人の生活」のハブになり、プラットフォームとして各人の生活に付き従い、ともすると先んじる未来は確実にやってきます。

GoogleAmazonが見据えているのはユーザーじゃない


最後に「人の生活」のハブになったGoogleAmazonが企んでいる未来を想像して、この文章を締めたいと思います。
結論から書くと、おそらく彼らが見据えているのは我々ユーザーではありません。むしろ製造業を見据えていると思います。

検索や買い物など、ディスプレイを主としたこれまでの彼らは、広告という形でそのサービスをマネタイズしてきました。
このイメージが強すぎるのか、旧来の雑誌社や新聞社の記事を読んでいると、短絡的に「彼らの狙いは音声の広告だ」という意見を見かけます。

GoogleAmazonがそんなちっぽけな考えて動いているはずがない。

人の欲求と機能の間を押さえることは製造業の根っこ、製品ニーズを押さえることになります。
エアコンも洗濯機も電子レンジも、製品ニーズ無しに新しい商品は世に出てきません。

GoogleAmazonは「人の生活」をデータ化し、その情報を複合的に膨大に集めることで製造業への影響力を強め、彼ら無しではモノづくりが成立しない世の中を描いている、 そんな想像を豊かにしている今日このごろでした。

ありがとうございました。