「広告」ってなんだろう
広告とはなんなのか
自分にとって長年の疑問。事業主体や代理店、メディアといった立場によってその定義は若干異なるうえ、デジタルが広告の形をリアルタイムで急速に変え続けているため、その本質を捉えるのがなかなかに難しい。
気になった記事
2013年の記事だけど今読んでも本当に質の良い考察。蛇足だけど立場として事業主体や代理店、メディアといった立場以外に「広告について考える人」という立場があることにも気付かされた。
抜粋
❏広告業界としてSHARPやPanasonic、SONYの凋落を直視すべき ・たとえばPanasonicは2011年度までの5年間で4,000億円超の広告を投下、単体ベースで4年連続日本最多出稿額だった
❏Panasonicの4,000億円に経済合理性や投資採算性があったのか ・家電業界の凋落がマーケティングの問題のみに起因するものではないが、旧来型のマーケティングが正当化してきた莫大な広告宣伝投資に疑問を投げかけるには十分なインパクト
❏メディア接触決定権のシフト ・テレビのHDレコーダー、webメディアの普及によって、コンテンツに接触するタイミングや時間の決定権が消費者にシフ>トした
❏広告枠という概念 ・メディア接触における決定権が消費者にシフトした現在、興味がない広告に対する消費者の受容態度は一層厳しくなっている
❏マーケティングコミュニケーションによる打ち手の分類
コントロール可能 コントロール不可能 vPUSH マス広告 SEM PULL ソーシャル&PR SEO&コンテンツマーケティング
❏広告における4領域 1:公の領域 →「移動」を軸にした広告。場所の移動や活動と活動の合間にある 例:交通広告、CM
2:社会的領域 →人々が互いに交流しつつ関係をもつ。コミュニティ軸 例:Facebook上で消費者を巻き込む形の広告
3:ステイタスの領域 →自己表現やアイディンティティを満たす 例:VUITTON、HERMES、ROLEX
4:心理的領域 →キャッチコピー
❏4領域における消費者行動
認知 試行 購買 ブランド選好 ロイヤルティ 公の領域 ◯ ◯ ◯ ☓ ☓ 社会的領域 △ ◯ △ △ △ ステイタスの領域 ☓ △ ◯ ◯ ◯ 心理的領域 ◯ ☓ △ ◯ ◯
❏適切な広告の効果測定 ・従来 →キャンペーン毎に評価を行っていた
・べき →1:アトリビューション 2:オプティマイゼーション 3:アロケーション を適切に行うべき
❏アトリビューション ・必要とされるデータが存在する場所 →必要とされるデータが社内にないというのは間違い。分散し、図らずも隠されているが存在する
・合わせるべき焦点 →「ノイズ」ではなく「シグナル」である点が欠かせない視点
・収集すべき情報5つ 1:マーケット情勢 2:事業実績 3:競合 4:マーケティング活動 5:消費者の反応
❏何がわかるとレーンをまたいだマーケティング活動を評価できるか ・メディアおよびロケーション別に商品別の売上と評価値を解析した詳細なデータ
❏アシスト効果 ・TVCM放映時のバナーCTRの差分 ・バナー広告配信時の検索数
❏アトリビューションを導入しない弊害 ・各レーンが同一の売上を自分の手柄として報告する
❏オプティマイゼーション ・施策を横断して予算を振り分け、将来を予測する →アトリビューションにより効果検証体制が整っていることが前提
❏アロケーション ・Run and Doneではだめよ
再び、広告とはなんなのか
消化しきれてはいないけれども、やはり技術によってその効果の透明性が問われる時代だという点については改めて認識した。ただ、効果を横断的に測定しようとする取り組みについてはこの記事から3年が経過しても浸透していない(少なくとも日本においては)。横断的な広告効果の検証の普及が参入障壁を下げるのを待つか、高い参入障壁を超えることで先行優位を獲得するかはキャリアにおける悩みどころ。まだまだ純広はある地域においては普及フェーズにあったりするわけで、先行優位を獲得するコストの見積もりを謝りたくはない。